今月のMovie

(2004年 7月号)


「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」

 ダニエル・ラドクリフ (ハリー役)
 エマ・ワトスン (ハーマイオニー役)
 ルバート・グリトン (ロン役)
 ゲイリー・オールドマン
 監督: アルフォンソー・キュアロン

第1作目の「ハリーポッターと賢者の石」から相当年月がたって、
当時子役だった子は、みんなすっかり背も伸びて、顔つきも大人っぽく変わってしまった。
ハーマイオニー役のエマ・ワトスンは14歳だというのに、ちょっぴりセクシーでもある。
ハリー役のダニエルももちろんだけど、ロンは、ほんとでっかくなって、声も違うよ。

今回は3作目。
「ハリーの両親を殺したとされる殺人鬼シリウス・ブラックが魔法界の牢獄アズカバンから脱獄し、13歳になったハリーの命を狙う。」というのが、ストーリーの本題。
ホグワーツ魔術学校では、シリウス・ブラックの侵入を防ぐべくハリーたちが果敢に恐怖に立ち向かうのだが・・・。(吸魂鬼、怖いっ!)
もちろん、すごいCGを駆使して、原作のファンタジーを映像で再現してくれた監督に拍手。パチパチパチ。
私もあの巨大な??に乗って、大空を飛んでみたいよ〜。気持ちいいだろうなあ〜。っていうか、怖いかな。
そして、最期はだいどんでんがえし。
タイムスリップもあったりして、手の込んだつくりだ。
原作派のhitopyに言わせると、原作の部分はかなりカットしてあったり、登場場面が微妙にずれていたりするそうだ。
(たとえば、ハリーの壊れてしまったホウキの代わりの新しい高速のホウキが登場するタイミングとか)

ハリポタファンにとっては、こういうことを見つけて論じ合うのも楽しいみたい。
そして、日記にも書いたけど、外人さんもたくさん見に来ていた。
アメリカ人でもヨーロッパ圏でもなさそうな、う〜ん、どこなんだろうアラブ圏?
とにかく、ハリーポッターはいろんな国で翻訳され、出版されているから、世界中のファンが楽しみにしていたというわけだ。

携帯やパソコン時代に、こんな風にファンタジーの空想物語の世界に素直に入っていけるというのは、
子供の心が、まだ健全だという証拠なのかな?
私も、もちろんこのストーリーは好きだし、単純に楽しめると思うけれど、
何よりも、このハリーを生み出した著者のJ.K.ローリングという女性その人に、とても興味がある。
1作目の「賢者の石」が映画化されて、ローリングはますます有名になり、彼女に関する評伝本も出てくるようになったわけだが、
私も「J.K.ローリング その魔法と真実  ハリーポッター誕生の光と影」(邦訳 メディアファクトリー社 ショーン・スミス著 2001年)を
読んで、彼女のそれまでの人生を知った時、とても驚いた。 (この本は、ローリングの許可を得ていないようなので、どこまでが本当かはわからないが・・)
とても、平凡でなだらかな人生とはいえないようだ。
多発性硬化症という病気で、若くして母親を亡くし、
最初の結婚生活に破綻して、逃げるように夫の元を去って離婚し、
乳飲み子を抱えて福祉給付金だけの貧しい生活をし、
その後も自立するためにいろいろ苦労を重ねてきた彼女だが、
ハリーポッターの原稿は、そうした彼女の人生といつも歩みを共にしてきたようだ。
登場人物のネーミングにも、それまでかかわってきた土地や人物の名前をつけたりして、深い思い入れがある。
そして、ハリーが、原作の中で、映画の中で言うセリフの一つ一つの中に、
ローリングが、自分の人生の中で深く心に刻み込んできた珠玉の言葉の数々がちりばめられている。
ハリーポッターが単なる空想の物語に終わらないのは、ローリングがこの物語を通して何かを伝えたいと思っていることがとても強いからだ。
「恐怖」に打ち勝つために、先生が教え、導いてくれる。
けれど、最後はやっぱり「自分自身」に勝つことだった。
あ〜、なんて、奥が深い。
ローリング自身は、早くに母親を亡くしているけれど、
ハリーは殺された自分の両親の事をいつも想っている。
父親、母親に対する愛情が、この物語を貫いている一本の真実なんだな。

この後の第4作目の「炎のゴブレット」も撮影済みだとか?
原作のほうは、英国では、最後の巻まで出版されたのでしょう?
邦訳本も早く追いつきますように。松岡 佑子先生、下訳の人、もっといっぱいつけてスピードアップでお願いします。
日本中の子供が、首をながーくして待ってますよお〜。